年々呉服店が減少していく中で着物を知らない世代が増えていて、呉服店の役割って何なのかを考える機会が少なくありません。
きもの離れが進んでいることを思うと、和装が生活に身近な存在になっていないのでしょう。
残された呉服店さんは、コロナ禍になろうとも、物価高で商品が値上がりしていっても経営を続けて行かなくてはならないので、商品を販売して利益を出して行かなくてなりません。
加えてデジタル社会の広がりから店作りの在り方が昔とは大きく変わってしまっていて、集客も販売もネットを活かした流れへと進み始めています。
一方で消費者は着物を着る着ないに関わらず、タンスの中に眠る多くの着物を処分したがっていて、リサイクルショップに売りに行く人もいれば、身近な人に譲ったりもしていて、中には自らがお安いお値段を付けてネット販売している人もいるそうです。
私が和装業界に入って時代に比べると何もかもが変わってしまっていて、言葉が適切でないかもしれないが、業界が核分裂を起している気がしてなりません。
昔は街着の着物レンタルという業種はありませんでしたし、着物のリサイクルショップや既製品の着物を売る店もありませんでした。
また異業種が浴衣を取り扱うこともなかったし、呉服店が宝石や洋装のバックを販売することもありませんでした、
それらの姿から、昔の呉服店が核分裂を起していることを物語っていて、呉服店の姿が時代の流れの中で壊れしまったかのようになっています。
今の仕事を続けていて時々考えることがあります。
呉服店として生きていこうとしたときに、他店との差別化が図れる特徴のある店を作ろうとしていて、仕入れる商品にこだわってみたり、時にはオリジナルの商品作るにもチャレンジさせていただいたりしていますが、核分裂を起した和装業界が失いつつあるものを補えるものになっているのかと・・・?
中でも影を潜めつつある「悉皆(しっかい)業務」は、このままでいいのかと思い始るようになりましてね~
【悉皆とは、染色、染直し、シミ落とし、洗い張り、仕立てなど染色に関する一切を請け負い調整する仕事のことを言います】
新しい商品を販売することだけが呉服店の仕事ではない。
むしろ、悉皆業務を請け負うことで、多くのお客様に喜んでいただけるに違いないと思い始めて、数年前前から、着物の丸洗いやシミ抜きの業務に力を入れ始めました。
お陰様でその分野の仕事量は年々増えていまして、6月11日から24日での二週間を「丸洗いキャンペーン」をさせていただきます。
感謝価格で受付させていただきますが、染色や染直しの仕事が多いとは言えず、店の業務PRを兼ねて、今年の2月に染替えのキャンペーンをさせていただくと、何人かのお客様から相談をいただくこととなりましてね~
その中のお一人に関東方面のお客様から付下げの染替えをして欲しいとの相談があり、離れた距離とあってお客様との打ち合わせに時間を要しましたが、昨日、染替えをした付下げが仕立て上がってまいりまして、相談者の許可をいただくことができたこともあっいて、ここに紹介させていただくものです。
【付下げの染替え相談】
染替えの相談をいただいたのはこちらの白地の付下げになります。
そのお客様は少しばかりお歳を重ねていることから、オレンジの模様が派手で着られないので、おとなしくして欲しいとの相談でした。
お客様には着物を洗い張りして、反物に戻してからお客様のお好みの色を乗せて、オレンジの色模様をおとなしく濁らすという方法を選択されて、見積もりを取ってから仕事に入らせていただきました。
【ビフォーアフター】
仕上がった付下げがこちらになります。
とてもいい感じに染まったと思いませんか?
【染替えをする前のオレンジ模様の付下げ】
画像は後ろ側のオレンジ色の花柄となりますが、オレンジ色を押さえることができました。
【ビフォーアフター】
いい感じに染め上がっていると思いませんか。
反物に戻してから洗い張りをして染めたので、現在の体型に合った寸法で仕立て直さなくてはなりません。
その仕立てが終りホッとしていますが、お客様に喜んでいただけるものになったでしょうか?
近く注文をいただいた品々とご一緒に送らせていただきたいと思っています。
上手く纏めることが出来ませんでしたが参考にされてください。
では今日はこれにて・・・
お休みなさい。