「春になったら・・・」そんな気持ちで水色のお召しをコーディネート・そして心を浄化する時間

 昔の人は、蝶のことを「夢虫」とか「夢見鳥」と呼んでいたそうです。
その呼び名は古代中国の思想家、荘子の説話「胡蝶の夢」に由来するとか・・・
蝶になる夢を夢を見たけれど、本当の私は蝶で、いま人間になっている夢を見ているだけではないのか、という話です。
「日本の七十二候を楽しむ」本の中から紹介させていただいたものですが、厳しい冬を過ごしたさなぎが羽化し、蝶に生まれ変わる頃です。
しかしなから、なかなか太陽が顔を出さないもので体で感じる春が恋しくてね~
大地に潜む虫や草花達も、清々しい春の訪れを待ちこがれていることでしょう。
寒さも幾分和らぎ始め、「春になったら・・・」という気持ちが日に日に積もります。
そんな想いから心が弾ける春をコーディネートしてみました。
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水色のお召しに若草色と黄色の紬地の帯を合わせた「春の歌」です。
柔らかな陽ざしを浴びながら、いつもと違う日を過ごせたとしたら鼻歌の一つもの口ずさみたくなるのが春の装いかと思います。
そんな日のことを考えると、音楽関係の小物でコーディネートしたくなりましてね~
帯留めに水牛の角から作られた蓄音機に音符柄の帯揚げでまとめてみました。

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後ろ姿はこのようになります。
際立つおしゃれ感とは言えないかもしれませんが、誰でも無理なく着こなしていただける春の装いかと思います。
そこに小物で遊びを加えました。
弾ける心は着物や帯の組み合わせだけではありません。
小物で想像を広げることも着物の楽しみ方で、タンスの引き出しを開けて着こなしのストーリーを考えてみてください。
着物好きな方であれば、それだけで満たされるのでは・・・
是非、訪れる春を貴女流の着こなしを考えてみてください。
話題は変わりますが、都心にお住いの方から、この春社会人になられるお嬢様の着物のお見立てを依頼されましてね~
そして、お嬢様の振袖姿と麻の葉柄に袴を装着された2枚のお写真が送られてきました。
とてもお綺麗な娘さんで、改めて重責のある仕事であることを実感している訳ですが、普通に考えれば都心は情報もファションも日本の最先端を走る地域ではないでしょうか?
きもの雑誌を広げれば、都内の専門店さんがいくつも紹介されていて、着物に関心のある方であれば、都合のいい環境にお住まいかと思います。
そんな地域の方からの相談に驚きを隠しきれません。
日が落ちた頃に、お電話を入れてお話をさせていただきましたが、私を信頼してくださっている様子に、更なる緊張が走りました。
母親が子供を大切に思う気持ち。
私のコーディネートに期待する気持ち。
期待を裏切ってはならないと思う気持ち。
充分なおもてなしができるのか不安に思う気持ち。
そして、無理な接客をしてはならないと思う さまざまな気持ちが心を浄化します。
純粋な気持ちで向き合いたいと考えていますが、何を一番に大切にしたらいいかを整理しないといけません。
しばらくこのことから頭が離れないことでしょう。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。