印象に残った染屋さんの担当者の話

 今日の京都出張はあいにくの雨で春の陽気を味わうことはできませんでしたが、いつものように淡々と仕入れ先を回る私でした。

春休み、そして新年度ということもあるのか親子づれや女性のリクルート姿を多く見かけましたが、業界関係者は思っているほど京都に入っていなかったのではないでしょうか?

仕入れ先の担当者も元気のある専門店さんが少ないことを話ていましたが、或る仕入れ先で興味深い話を聞かせてくれました。

その話を記事にしてみたいと思います。

仕入れという負担を避け商品を借りて商売をしていると、仕入れの感を失ってしまって、何を仕入れたらいいのか判らなくなるものだ。
それと同じで、メーカーが物を作ることを怠っていると、1、2年で感性が衰え作れなくなるものだと・・・

消費が低迷する中で、リスクを避ける専門店さんやメーカー増えていて、そのことが業界全体を衰退させているのではないだろうか?

そのようなことを語り掛けていたことがとても印象に残りました。

そういえば、長年この仕事をしていて、空を飛べた鳥がいつしかニワトリになってしまったかのような能力が衰えた店をたくさん見てきました。

例えば、昔は着物の見立てなると、その店の女将や店主だったものが、いつしかマネキンといって外部から見立ての専門家を使うようになってから、マネキン無では販売ができなくなっている店があります。

また、店の販促や案内状作りは、昔はほとんどの店が自ら考えてプロデュースしたものですが、これもいつしか仕入れ先に下駄を預けるようになると、自ら販促を考えることも案内状作りもできなくなり、事あるごとに仕入れ先にゆだねている先が少なくありません。

これらのことを考えると、甘えがこれまで活用できていた機能を衰えさせているのではないでしょうか?

私たち人間は経験と失敗から多くのことを学びます。
学びは次のステップを上る階段でもあり、成長の源になるものです。

しかしそのことを軽視していると、能力が衰えるだけでなくズルを覚えるのではないでしょうか?

以前ラジオから聞こえてきた言葉を思い出します。

「ズルは権力や地位、財を手にすることができても、幸せを手にすることはできない!」

何気ない担当者との会話でしたが心に染み渡るものがありました。
真摯に受け止めなくてはいけませんね。

それではこれにて・・・
お休みなさい。

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