夏商戦を前にして私の浴衣へのこだわり・そして竺仙さんの松煙染浴衣地をコーディネート

 久しぶりに来店客も多くて活気ある忙しい店内となりました。

信頼していただいているお客様の来店が多いと、元気が湧き上がるもので、「今から・これから」という前向きな気持ちにさせられるものです。

その意味でもお客様の笑顔というものに計り知れない力をいただける気が致します。

今日の投稿ですが、店作りに欠かせない仕入れと品揃えについて書いてみたいと思います。

物が溢れている中で消費者から選んでもらえる店を築いて行くことって、生易しいものではありません。

地域には大きなショッピングモールがいくつもあって、ネットから気軽に買い物ができる時代ともなると、何でも品揃えをしていれば売れるというのは過去のもので、特徴を持たない店は存続が難しい時代といえます。

私たちの業界に目を向ければ、生活環境の変化と共に着物市場が小さくなり続け、バブル期と比較すると呉服店の数も半分以下に減少しているのではないでしょうか?

それもいまだに減少の歯止めが効かず、廃業に追い込まれる呉服店や業種転換を図る店も少なくないことを聞かされています。

多くの店が品揃えというリスクを恐れ、新規客を採り込む努力も忘れ、時代の変化についていけなくなっている気がしてなりません。

そのような中で私はこのような捉え方をしています。

身の危険を感じ踏み出せない呉服店が多いとなれば、小さな家業店でも着物ファンを呼ぶ寄せるチャンスがあるのではないか。ならば、独自の切り口で何かに特化した店づくりができないものかと。

それは振袖にこだわる店であってもいいし、ディスカウントにこだわる店でもいいし、お手軽感のあるプレタ着物(仕立て上がり着物)の店であってもいい、とにかく商品を絞り込んで着物ファンの心を掴むことを考えてみたのです。

そしてその選択を「おしゃれ着」としてのトータルコーディネートにこだわって今日まで来ました。

それは豪華絢爛な着物でもなく、お手軽なプレタ着物でもありません。マニアックな領域の着物や帯で、おそらく少数派の着物ファンだと承知していますが、私自身がたまらなく味のある着こなし方が好きで、コーディネートも欠かせないものだと考えて店作りをしているものです。

しかし、そのような商品は消費が低迷すればするほど、作る側も安全パイを欲しがってこだわった品を多く作ろうとはしないんですね~

以前はマニアックな商品を短期で仕入れ先からお借りすることもできましたが、それも消費の落ち込みと共に注文生産に変わりつつあり、在庫という無駄を省くようになって来ています。


言葉を変えれば商品流通の健全な姿に変わりつつある訳ですが、小売店からすれば、リスクを抱えないと特化した店作りが図れないということです。

大衆品を扱う店と違ってマニアックな店を築こうと考えたとき、より一層、甘えが許されない時代に入ったと言えるかもしれません。

そのような背景があって、お客様に刺激を与える展示会というものが頻繁に組まれるようになり、日々の店作りがおろそかになっているように思います。

展示会とうい単発的な企画で集客を図り買い物に繋げる仕組みを構築していくのか、それともいつでも着物ファンを受け入れられる店を築くために在庫というリスクを張るのか判断の難しい時代になりました。

資本力に乏しい家業店において覚悟がいりますが、私は店舗を生かしたこだわりのある店を目指し、いつでも対応ができる店を築いていくことが着物ファンに安心と信頼に繋がる店へと進化していくのではないでしょうか?

簡単なことではありませんが、その糸口を着物の着用が増える夏の季節を狙って浴衣から店の価値を探し出したいと考えています。

浴衣を着物だと考えていない着物専門店の方もいらっしゃるでしょうが、着物初心者にもっとも接近できるアイテムだけに、おろそかにできません。

DSC_0004silyouennzomeyukatawoko-dhine-to.JPGこちらのコーディネートは店に届いたばかりの竺仙さんの松煙染の浴衣地に、今年新しく仕入れた麻素材の染帯でおしゃれを演出したものです。

素敵だと思いませんか?

実は「江戸小紋展」が終わった後に店頭に出してネットにも紹介してみたいと考えていたのですが、お越しになられていたお客様に、こちらの商品を目に触れていただくと、とても気にいってくださいましてね~

お嫁入りが決まったコーディネートで、皆さんに紹介したくてご無理を言ってアップさせていただいたものです。

こちらの松煙染浴衣は単衣の着物としても着ていただける着物なんですよ。

店のこだわりがここにありますが、この夏も品質の高い浴衣地で頑張ってみたいと考えております。

それではこれにて・・・
お休みなさい。