7月も半ばを過ぎて夏真っ盛り。 ゆかたを着装する季節が訪れ、お気に入りのゆかたに袖を通された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
店としてはゆかたの需要期を見込んで、おしゃれの提案をさせていただいておりますが、ここまでのところ、ゆかたの動きがいつもの年より良くありません。
この傾向は私の店だけではないことを仕入れ先からも聞いていますが、仮に、量販店のオープンな売り場作りや、リーズナブルな既製品の価格帯が、ゆかた初心者の価値観に合っているとしたら、着物専門店さんの役割がゆかた市場に反映されていないことになります。
あくまでも仮説ですが、お手軽感が着物市場を大きく変えるものになっていて、それはゆかた市場にも広がり始めているとしたら呑気に構えていられません。
その一方で、リーズナブルな既製品に満足できない方が多くいらっしゃることも確かで、量販店で買い求めたゆかたの着丈や裄(ゆき)が短いとか、面白味がないという声も新規客から届いていて、失敗と不満の声が着物専門店へと目を向けられていることも確かな現実です。
ここのきて、毎日のように新規のお客様が尋ねてこられていて、見立てに満足していただいてお買い物に繋がることもあれば、商談がまとまらないケースもあり、にわかに気ぜわしさが増し始めています。
なのに、私の店は「涙市」を控えていて、店内の商品がすべて割引することから、催事の売り場作りと同時進行でプライスダウンの価格も付け始めました。
そして、後ろ髪を引かれる思いで、こだわりのゆかたにもプライスダウンの価格が入りました。
21日(金)からの「涙市」では、ゆかた地が最大で80%の割引となりますが、正直なところ、浴衣商戦の成果が上がらない状態を引きずっての割引は辛いものがあります。
これも決算前に在庫を減らさなければならない店側の事情や、世の中の夏物バーゲンとも重なることもあり、流行に左右されない古典柄浴衣にも割引価格が入りました。
割り切れない心境でいるところですが、「決算の会」のタイトルが「決算・涙市」に変わったのも、このような背景があってのことです。
経営に関わる人であれば、多少なりと複雑な心の内がお解りいただけるかと思います。
とにかく、ゆかたはすべてプライスダウンの価格表示が付いたので、涙市の開催まで待たずとも有効な価格とさせていただきます。
夕方に男性のお客様がご自身のゆかたを見に来られ、割引価格にて販売させていただきました。
納期は一週間後ということで、和裁士には無理をお願いしなくてはなりません。
店には数人の和裁士が控えていて、オーダーメイド仕立てであっも一週間以内で仕立て上げられるように努力させていただいているので、急いでゆかたが必要とされるようでしたら、涙市を待たずとも割引価格で対応させていただきます。
こうして、人手がないもので順番に割引価格を付け始めていますが、涙を流しただけの成果が上がるように、ベストを尽くして会を開きたいと思っています。
それにしても決算は辛いです。
現実が夢を呑み込んでいくものがあり、商品一つ一つに詫びるシーンが多くなっております。
それではこれにて・・・
お休みなさい。