廃番となる「草履カバー」と値上がりした「四つ身長襦袢」から見えてくる和装業界

草履カバーが廃番になる

10年に一度といわれる冬の嵐は思っていたほど積雪もなくて、自宅の給湯器が凍ってお湯が出なくなっているくらいで終りましたが、ニュースを見ていると各地で寒波の影響を受けたようで、日本中が大騒ぎとなった一日ではなかったでしょうか。

地域の寒波の峠は越えたのではないかと考えていますが、ここしばらくは積雪と路面の凍結なども考えられるので、車の運転には気をつけなければならないと思っているところです。

 

ところで昨年より商品の価格改正の知らせが頻繁に届いていまして、その流れに歯止めが効かなくなっております。

特に付加価値を付けにくい、正絹の塩瀬半衿であったり、きものの裏地となる胴裏や八掛、色無地や長襦袢などの定番商品を見ていると値上がりしているがよく分かります。

 

値上げができるメーカーさんは需要があるから値上げに踏み切れるのかもしれませんが、需要の少ない商品はどんどん廃番になっていって、この先どうなってしまうのかと心配でなりません。

 

今日はそのことについて記事を書かせていただきたいと思います。

 

地元のお客様から随分昔に準備された加賀の四つ身訪問着に合わせて用意されたピンク地に薬玉の地紋が浮かび上がった長襦袢の汚れがひどくて、よく似た長襦袢を用意したいとの相談をいただきましてね~

 

難しい相談ではなかったものでお受けしたのですが、持ち込まれた長襦袢と似た商品が市場から消えていたことに驚きがありましてね~

仕方なく違ったタイプの四つ身長襦袢を用意してみることに・・・

 

 

 

四つ身長襦袢
四つ身長襦袢

 

 

四つ身長襦袢
四つ身長襦袢

 

それがこちらの2種類の長襦袢になります。

お客様が持ち込まれた長襦袢とは明らかにクオリティの高い品となりますが、そのお値段が私が知る価格を遙かに超えていましてビックリさせられました。

 

生地が高騰しているとは言え、こんなにも値上がりしているとは思っていなかっただけに、考えさせられるところがあります。

 

政府は物価の上昇率以上に人件費を上げることが日本経済に必要であることを唱えていますが、和装業界においては、商品の値上がりは消費を止める危険性をはらんでいて、消費を促すとは思いにくいところがあります。

これ以上きもの離れが進めば、廃業ということにもなりかねない事態になっていて、それでも私たちは業界の価値を高めて行くことに様々な工夫をしています。

 

そこにコロナ禍と材料費の高騰をもろに受けていて、業界が明るい方向に向いているとはいいにくく、悩ましい日々を送っています。

 

それは一つの商品からも業界の弱体化が見えてまいります。

 

 

 

草履カバーが廃番になる
草履カバー

 

 

これはこちらの画像にある草履カバーです。

雨や雪から草履と足元を守るカバーですが、仕入先から廃番となることを告げられて、“どうしてなの”という想いでいます。

 

その草履カバーは草履の大きさに合わせて、M・L・Fの3種類の大きさがあり、当店では、Lを税込み¥¥2,090で、Fを¥2,530の価格にて店の定番品として、長年に渡り取り扱っていますが、廃番となる理由をお聞きすると、こちらの草履カバーを新たに作るとなると、膨大な量を作らなくてはならないそうです。

その投資額に比べて消費が非常に鈍く、在庫として長年持ち続けることができなくなっていることを話されていました。

 

担当者は「L」と「F」それぞれに8個で販売を終了するトのことだったので、買い占めるまではしませんでしたが、少し店の在庫として分けてもらいました。

取り扱いのなる全国の小売店さんにはまだ在庫としてあると思われますが、いすれ市場から消えていく商品です。

 

実はこのような話は氷山の一角で、市場にあると思って注文を入れたら市場から消えていたということが随所にあって、業界が小さくなっていく現実を目の当たりにしています。

それがコロナ禍の間に加速していまして、そのいい例が今年のゆかた市場においての各メーカーさんが発表した新作の数です。

 

作ることを辞めたメーカーさんもありまして、先が読めない現状に作ることを控えて経営を立て直す方向へと進んでいる感じが致します。

 

そこで私たちはどう動くのかが問われています。

 

いろんな問題が浮き彫りになっていますが、少なくとも私は積極的に愛好家の期待に応えられる店を作っていけたらと考えています。

 

明るい話題をお伝えできなくて申し訳ありませんが、その中で頑張っている専門店さんが全国に多くいることも忘れないでいてください。

 

それではこれにて・・・
お休みなさい。