私は本を読むことが少なく、本を買うということもあまりありませんが、私が大切にしている本が幾つかあります。
その中の一冊に現在の店作りに影響された本がありましてね~
【今の店作りに影響された大橋歩さんの本】
それは1997年に発売されたイラストレーターの大橋歩さんの「きものでわくわく」という本です。
大橋歩さんは1940年生まれの方で、こちらの本を手にするまで詳しく存じ上げることがありませんでしたが、中を開いてみたとき、計り知れないインパクトがありました。
こちらの本を手にした26年前といえば、バブル崩壊から4、5年後のことで、きもの離れが進み、物事の考え方や価値観が変り始めた時で、きもの業界に大きな影を落とした頃だったように記憶していますが、地域みは同業者が多く存在していて、加賀友禅の着物や振袖など、フォーマル着に依存した店作りをしていた時だったかと思います。
そんな時代に目にしたのが大橋歩さん本だったのです。
中を広げると、これまでに見たことのない、形にこだわらない自由な組み合わせで、それもカジュアル系のきものでのコーディネートが目に飛び込んできて「なんてお洒落何だろう~」と、衝撃がありました。
その本を買い求めて何度も何度も見るうちに、「きものでわくわく」にあるようなきものコーディネートに、私が呉服屋なのに憧れるところがありましてね~
この本が切っ掛けで、きものを見せるというコーディネート術を工夫し始めるようになったのです。
それときものを軸に合せる帯や帯締め帯揚げ草履やバッグで装いの表情が変る面白さにも気づかされて、日本のきもの専門店を目指してみたいと思ったのも、この本との出会いがあったからかと思っています。
あの日から26年も過ぎているのに、いつ見ても新鮮な香りを失っていなくて、これこそがきものが持つ魅力なんでしょう。
この本の中には写真だけでなく大橋歩さんのきものに対する想いが綴っていて、それがまた素敵なんですね~
その一節を紹介させていただきます。
「帯は面白い」
着物一枚に帯三本というようなことを聞いたことがありますが、帯によって着物の表情もTPOも違ってきますから、三本以上持っててもいいぐらいと思います。もちろん手持ちので合うのをさがして楽しんでいいのですが、着物の楽しみは帯合わせも一つです。
椿、梅、桜、菜の花、菊、紅葉のような花等の帯で、一枚の着物をスリーシーズン楽しむことが出来ますし、格の重い帯をしめればよそいいき着、趣味性の強い帯をしめてちょっちしたパーティやお芝居着。帯で着物を着まわすことも出来るのです。
また着物は帯によってセンスよくも品悪くもなります。自分らしさも帯選びになります。
着物に帯はメロディーと歌詞みたい、スパゲティーにソースみたいと私は思います。帯がないと着物の良さが見えないですから。
来月20日より帯展をさせていただもので、ここの文面が印象的で紹介させていただきましたが、この店の店作りがこちらの本に影響させていることがお分かりいただけるかと思います。
久しぶりにこの本を出してきて見てみると、見慣れているはずなのに刺激をもらあるのは、きものコーディネートのバイブルになっているのかもしれませんね。
「きものでわくわく」の本を見た後に、このコーディネートを見て、見せ方の工夫とコーディネートに何を加えると面白くなるのかを考えてしまいました。
時を改めて楽しいコーディネートがご紹介できればと思っていますが、26年もの前の本なのにクオリティの高さに刺激をいただくことができました。
では今日はこれにて・・・
お休みなさい。